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ライノタイプ・タイプディレクター小林章氏に聞こう!!
たくさんの方からコメントや質問を頂いておりますが・・・今回はこの質問をテーマに回答してもらいました!
あなたの質問ですか?
次号の質問は、このページの1番最後に発表しています!
Q:「フォントの見方」について
1-1:フォントの良し悪しの見分け方 | |||||
1-2 吟味の仕方:フォント検索ツールを活用しよう | |||||
1-1 フォントの良し悪しの見分け方
ソフトウェア等と同様、お金を払って使ってみないとフォントの実際の良し悪しはわかりませんが、何かのおまけについてくるフォント、格安フォントの中にはとんでもないものがあります。格安フォントの中から数書体みただけでもいくつか問題が見つかりました。
1列目サンプル参照:
「Savoy」という名前のついた Sabon のクローン書体です。
fi 合字がちゃんとしていないとか、小文字の g がやたらに扁平だとかは細かく見ると気になりますが、それよりも致命的なのはアクセント付き文字にまったく別のデザインの文字が混じっていることです。この場合は大文字 C の下にフランス語のシディラのアクセントが付いた文字は別の書体のデザインです。
今の時代、ロゴなどにフランス語の単語を使う可能性は十分あります。あなたがクライアントなら、こんなデザインに料金を払いますか? 怪しげな名前の格安フォントには、こんなとんでもない文字がどこに潜んでいるかわかりません。
ちなみに下はライノタイプから出ている由緒正しい Sabon のデジタル版です。
3列目サンプル参照:
堂々と「Mistral」という名前がついているのですが、オリジナルの活字書体に忠実なライノタイプ社の Mistral と比べると違いは歴然です。上の「Mistral」は本の付録についていました。字の形はいいかげんで、小文字のつながりがうまくいっていません。
5列目サンプル参照:
オリジナルの活字書体 Hobo は、小文字を混ぜて組んでも単語のデコボコが少なくなるような小文字 g や p などのディセンダーをベースラインに収めたり x ハイトを極端に高くしたりと工夫されていて、独特の雰囲気を持つアールヌーボー風の見出し用書体です。上が本の付録の「Hobo」です。小文字のディセンダーをベースラインに収めるというコンセプトは無視されていますし、大文字のスペーシングは良くありません。下がライノタイプの Hobo です。
フォントはちゃんとしたメーカーから買ったほうが結局は安くつくはずです。
1-2 吟味の仕方:フォント検索ツールを活用しよう
「テーマにあった雰囲気の書体」「適材適所の書体」を選ぶことは大事です。とくに欧米のデザイナーは自分の手持ちのフォントにテーマに合うものがないと、フォントメーカーに「こういう雰囲気のものがないか」と問い合わせをしてくるくらい神経を使います。
ライノタイプのホームページでは、ウェブサイトでの試し組みやグリフの一覧を見ることができます。とくにロゴなどでの見え方がどうなのか気にされる人も多いと思うので、購入の前にフォントの吟味ができるようにウェブサイトを活用してはどうでしょう。買ってから「まさか大文字の R がこんな形だったなんて」などと後悔しないように、組む単語が決まっている場合はグリフのデザインや単語にしたときの字並びを確認してから買いましょう。
(回答文)ライノタイプ社 タイプディレクター 小林 章 氏
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